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北の森から生まれた、木質繊維断熱材「ウッドファイバー」についてご紹介

2022/02/10(木) 住宅すべて

 

お話を伺かったのは、ウッドファイバー株式会社 営業部の生方陵さん。
断熱性能だけにとどまらない、木質繊維断熱材「ウッドファイバー」の様々な魅力について教えていただきました。

 

ウッドファイバーってなに?

ウッドファイバーとは、木の繊維からできた多機能断熱材で、北海道苫小牧の工場で製造販売されています。カラマツ・トドマツのような北海道産の針葉樹から生まれたチップを繊維状にし、成型するという流れで作られます。


これは元々ヨーロッパで40年ほど前からある技術ということですが、日本で初めて取り入れられたのは2007年頃のこと。乾式工法で木の繊維を断熱材として製造販売しているのは、現時点で国内ではウッドファイバー株式会社のみなんだそうです。

 

SDGsに象徴される環境面への取り組み

建築業界におけるSDGs達成への貢献は、再生可能資源の利用に見出すことができます。
家の中での使用量が非常に多い断熱材を石油系のものから木の繊維に替えるだけで、大きな環境貢献に繋がるのではないでしょうか。

ウッドファイバーが掲げるSDGs達成への貢献

■地産地消、産直建材としての木材の利用促進
   1㎥の原木から6.6㎥の製品
⇒15 陸の豊かさを守ろう
    11 住み続けられるまちづくりを
■CO2の固定と、木くずとしての廃棄
(埋め立て処分場の負担軽減)  
⇒12 つくる責任つかう責任
 13 気候変動に具体的な対策を
■木材の持っている特徴の追求と恩恵の普及
(蓄熱性能、調湿性能、吸音、リラックス)
  9 産業と技術革新の基盤をつくろう
■健康住宅素材の利用促進   3   すべての人に健康と福祉を
■木材の新たな利用方法と組織間での連携
(OEM、地域との連携)
⇒17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

ウッドファイバーの特徴

ウッドファイバーは、断熱性能はもちろんのこと、付随して期待できる性能が多くあります。
今回はその中から、①蓄熱性能、②調湿性能、③吸音性能、④防火性能についてご紹介させていただきます。

①蓄熱性能

まず1つ目の蓄熱性能ですが、簡単に言うと、熱を蓄えられる量が大きいということ。そのため、室内の温度が安定しやすいという特徴があります。熱伝導率だけでは他の断熱材とあまり差はないということですが、この蓄熱性のおかげで住まい心地が非常に良くなるんだそうです。

【実験結果】蓄熱性能について
 


グラフは2017年6月14日~18日の実験場の外気温と室内の温度をグラフ化したものです。エアコンを作動していない状況でのデータです。

 

 

同じ条件で同じ熱抵抗のものであれば、温度の挙動は全く同じになるはずですが、ウッドファイバーと一般的な断熱材+ビニルを比較すると、ウッドファイバーの方が、温度の振れる幅が小さくなっています。すなわちウッドファイバーを使用したお部屋は、外気温の影響を受けにくく、温度が安定しているということが分かりますね。

 

②調湿性能

2つ目は、調湿性能です。ウッドファイバーは、木材の特性を引き継いでいるため、吸放湿性能に優れていて、これが調湿性能に寄与します。露出している壁だけでなく、断熱材にも吸放湿性能があることで、お部屋の調湿を補助し、さらに壁内結露のリスクも下げることができます。ウッドファイバーは、断熱材の中でも調湿性能が高い製品です。

【実験結果】調湿性能について
 

 

グラフは2017年6月14日~18日の実験場の外気湿度と実験棟A,Bの湿度をグラフ化したものです。

 

 

ウッドファイバーは、外気の湿度の平均を取ろうとする動きになっています。温度変化と同じようにウッドファイバーを使用したお部屋の方が外気湿度の影響を受けにくく、安定していることが分かります。

 

③吸音性能

 【吸音率比較】

 

 

3つ目の吸音性能です。ウッドファイバーは木の多孔質組織と木質繊維の空隙により、高い吸音性能があり、室内を静寂に保ちます。密度が高いことも、音の軽減に寄与します。ちなみに一般的な断熱材に使用されるグラスウールの密度が約10㎏/㎥なのに対し、ウッドファイバーは55㎏/㎥なんだとか。

 

<木質繊維(マイクロスコープで撮影)>

 

④防火性能 

4つ目、防火性能についてですが、ただの防火性能ではなく、“高い”防火性能が特徴です。木繊維が燃焼時に炭化層を形成し、内部への熱の流入を遅延させるため、ウッドファイバーは、非常に燃えにくいという性質があります。さらに難燃剤を添加することにより、防火性能がより強化されています。

<ウッドファイバー>

<グラスウール>

<ポリスチレンフォーム>

 

ココで空気科学住宅ポイント

ウッドファイバーは、シックハウス症候群の原因物質でもあるホルムアルデヒドの吸着性能と消臭性能も確認されています。
その吸着率は99.98%と非常に高く、さらに放散率も0.01%であるため、吸着したホルムアルデヒドが放散しないことも確認されています。

□試験体:ウッドファイバー(厚30㎜×50㎜×100㎜)

<A.吸着試験>
200ppmのホルムアルデヒドを5リットルパックに入れる。室温で24時間経過後、ホルムアルデヒド濃度は0.05ppm未満となっている。

<B.吸着試験>
再度、200ppmのホルムアルデヒドを5リットルパックに入れ再試験。
室温で24時間経過後、ホルムアルデヒド濃度は0.05ppm未満となっている。

<C.放散試験>
上記の試験体を40℃に設定した恒温室に入れる。
40℃で48時間放置後、ホルムアルデヒド濃度は、0.05ppmとなっている(規定量0.08ppm)。

 

また、木材の懸念点として挙げられる防虫・防カビ性能に関しては、ホウ酸の添加で担保されています。ホウ酸を添加することで、カビの発生を抑制するほか、シロアリやゴキブリなどにも高い効果を発揮します。ホウ酸は、消毒薬として目薬などにも使用されており、人体には安全性の高いものとなっています。

 

施工事例紹介

ホテルレウスは、北海道発のオール電化ホテルで、足寄産木材を柱、梁から羽柄材にまで使用してつくられた地産地消の木造2階建です。足寄産木材を原材料として加工したウッドファイバーが、外壁に90㎜充填されているとのことです。

 建設地:  北海道足寄郡足寄町北3条1丁目3-1
 敷地面積:  2553.42m2   建築面積: 570.59m2
 延床面積:  1053.25m2      階数: 2階
 構造:  木造(パワービルド工法)

 

そして、ホテル宿泊者からの感想として、以下のようなお声をいただいているそうです。

ホテル宿泊者からの感想

・ホテルに入ると木の心地よい香りがして落着く。木のぬくもりを体感でき驚いた。
・冬に室内が暖かくなったため暖房を停止したが、-10℃を下回る外気温にかかわらず、その後翌朝チェックアウトするまでエアコンを稼働させなかった。
・夏の蒸し暑い日も室内は、エアコンをすぐに稼働させなくても涼しく心地よかった。
・シャワーを浴びた後、他のホテルだと肌寒く、部屋着を着るがここは肌寒さを感じず快適だった。
・エアコンでの乾燥を気にしたが、他のホテルと違い湿度がコントロールされていると感じた。
・地産地消で地元材を使っているということで、環境にも優しく注目している。このようなホテルが増えてほしい。

 

おわりに

今回は、木質繊維断熱材「ウッドファイバー」について、ウッドファイバー株式会社 営業部 生方陵さんのお話に基づいてご紹介させていただきました。

生方さんは最後に、「家で使うエネルギーを減らすという意味で、断熱だけでも十分環境貢献につながります。その中で、素材から、日本で取れる資源でというところで何重にも重なって貢献できると胸を張って言える商品です」と語ってくださいました。

この記事が、少しでも皆様の家づくりの参考になりましたら幸いです。


会社案内

ウッドファイバー株式会社 

住所: <本社>神奈川県横浜市鶴見中央4-33-1 ナイスビル6階
<工場>北海道苫小牧市植苗169番地5
HP: ウッドファイバー|北海道の森から生まれた木質繊維断熱材 (woodfiber.jp)
YouTube: 【公式】ウッドファイバー 製品紹介 - YouTube

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

それではまた次回、お楽しみに♪

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