
春になると、遠くの景色が白っぽく見えたり、空がどこかぼんやりとかすんで見えたりする日がありますよね。
そんな春特有の空気の見え方に、不思議さを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回のコラムではこの”春のかすみ”の正体について、ご紹介します。
なぜ春は空気がかすんで見えるの?

春のかすみは、花粉や黄砂によって空気中の不純物が増えるだけでなく、気圧の配置とも深く関係しています。
高気圧に覆われると、上空から地上に向けて下降気流が発生することで、雲が発達せず、晴れますが、下降気流がしっかり発生すればするほど、空気の蓋(ふた)と呼ばれる「逆転層」というものが発生します。
地上を覆う蓋の役目をするため、地上付近にある土ぼこりや花粉、黄砂、ちりなどの不純物は上空高くにまで舞い上がることが出来ず、地上付近に漂います。
また、高気圧に覆われていて風が弱くなることで空気が動かず、不純物が同じ場所にとどまりやすくなります。[1]
その結果、さまざまな色の波長からなる太陽の光が、空気中の不純物とぶつかり、全ての色の波長が散乱することで、白く見える春特有の”空気のかすみ”が生まれるのです。[2]
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春霞(はるがすみ)って何?

昔から、春の空がぼんやりとかすんで見える様子は、「春霞(はるがすみ)」と呼ばれてきました。
俳句や和歌の世界でもよく使われる、春を代表する季語のひとつです。
この季語は、奈良・平安時代の大和や山城の山々の実景が元になって生まれたことばと言われているそうです。
霞という言葉自体が春の季語となっていて、春霞の他にも「朝霞」や「花霞」、「夕霞」などもあるようですよ。[3]
春特有の空気の見え方を風情としてとらえるとは、なんとも素敵ですね。
春の空気と上手につきあうには?

春は花粉の飛散以外に黄砂現象も発生します。
黄砂現象は東アジアのゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの砂漠域から強風により吹き上げられた多量の砂やちりが、上空の風によって運ばれ、浮遊しつつ降下する現象です。[4]
これらが空気中に漂い始めると体に不調を感じる方も多いのではないでしょうか?代表的な症状として、花粉は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、発疹などを引き起こします。
【関連学術論文①】No.1 花粉症と気管支喘息との関連についての調査【関連学術論文②】No.18 スギ花粉による室内汚染レベル,室内侵入率および花粉1個に対するCry jl量
一方、黄砂は、咳・痰・息切れ・喘鳴など気管支や肺に刺激を与える他、皮膚に触れるとかゆみやかぶれ、目に入ると傷み・かゆみ・充血などを引き起こします。[5]
春は暖かくなり、外出の機会も増える季節ですが、体に不調をきたさないためにも帰宅後の衣服のお手入れや手洗いうがいはもちろんのこと、空気清浄機を使用するなどして室内の空気をきれいに保つことが大切です。
そうした小さな心がけの積み重ねで家族の健康を守りながら春の空気と上手につきあいたいですね。
空気科学住宅事務局
[1]ウェザーニュース社「春に景色が霞むのは、空気のフタが関係」|ウェザーニュース https://weathernews.jp/s/topics/201804/100035/
[2]株式会社 朝日学研シンクエスト「どうして春の空は、白くかすんで見えるの?黄砂や花粉が関係してるってほんとう?」 | キッズネット https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/harukasumi230412/
[3]あめつちコトノハ「【春の季語】『春霞』の時期とは?ことばの意味や使い方、俳句をご紹介します!」https://karens8.com/springtime-haze-words/
[4]国土交通省気象庁 「黄砂に関する基礎知識」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/env/kosahp/4-4kosa.html
[5]やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック「黄砂と花粉の季節:体への影響と対策」https://yamaguchi.clinic/blog/e_26903.html
