夕焼けは空気が作る?空が教えてくれる色のヒミツ

2025/10/31(金) すべて空気と雑学

夕方、空がオレンジや赤に染まっていると、つい立ち止まって見上げたくなることがありますよね。
毎日同じ太陽を見ているはずなのに、夕焼けの色は日ごとに異なり、まるで自然が描く一枚の絵のようです。その夕焼けの色の変化、実は空気が関係していると知っていますか?

 

夕焼けの色はどうして赤やオレンジ?

複数の色の光から構成されている太陽光が、空気中の分子をあたると光の波長ごとに散乱される、「レイリー散乱」と呼ばれる現象が起こります。[1]その光の中でも波長が短く空気中の分子にぶつかって散乱しやすい青色の光が強調されて、昼間の空は青く見えています。一方、夕方は太陽が地平線の近くにあるため、太陽光が空気中を通る距離が昼間よりも長くなり、波長の短い青い光は途中で散乱し切ってしまいます。そして、波長が長く散乱されにくい赤やオレンジの光が強調されて、夕焼けの色として私たちの目に届いているのだそう。[2]

 

空気中の水蒸気が夕焼けの色を変える

夕焼けの色は赤やオレンジですが色のグラデーションは日々、少しずつ違っていますよね。
その微妙な色の違いは空気中の水蒸気の量が大きな影響を与えています。空気中の水蒸気の量が多いと、波長の短い光はより散乱してしまい、波長の長い赤色の光が散乱されずに強調されて見えます。反対に空気が乾燥して水蒸気の量が少ないと、赤色に比べて波長が短い黄色やオレンジ色の光も散乱されずに私たちの目に届きやすくなるのです。[2]
日々の空気中の水蒸気量が違うことで、毎日の夕焼けの色のグラデーションを楽しめるのですね。

 

太陽の光はあっても宇宙空間の空は真っ暗

月面や宇宙空間は日中であっても空の色は真っ暗にしか見えませんよね。
その理由は宇宙空間や月面は殆ど真空状態で太陽光が散乱されないためだからだそうです。[3]宇宙の空の色の理由を知ると、目には見えない空気が地球上の空の色を表現していると想像でき、いかに空気が私たちの生活になくてはならないものなのかをより実感しますね。

 

見るたびに変わる夕焼けを楽しむ

夕焼けは、単なる景色ではなく、光と空気が織りなす自然のアートともいえますし、ただ美しいだけではなく、空気のささやかなサインを教えてくれます。オレンジや赤の色の濃さ、透明感の違いを眺めることで、空気の状態に気づくことができるのではないでしょうか。家の窓から見える空でも、少し注意して観察してみると、毎日の景色が特別なものに変わります。夕焼けを眺めるひとときは、忙しい日常の中で立ち止まり、自然の小さな変化を感じる時間にしてみませんか?

空気科学住宅事務局


[1]公益社団法人 日本天文学会『レイリー散乱』 https://astro-dic.jp/rayleigh-scattering/
[2]株式会社ウェザーニュース『夕焼けの色は季節・気象で変わる? 冬の特徴はきれいな黄金色』  https://weathernews.jp/s/topics/202212/050215/
[3]シーシーエス株式会社『第21回 青空・夕焼け・白い雲』 https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color/vol21.html

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