家の中の「空気」って、普段あまり意識することはありませんよね。でも実は、空気は家族の健康や気分、暮らしの心地よさを左右する、とても大切な存在なんです。目には見えないけれど、確かにそこにあって、毎日、家族みんなが吸い込んでいる。
だからこそ、空気のことを少しだけ気にかけるだけで、おうちの時間が大きく変わることがあります。
小さな体にこそ、いい空気を
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子どもは大人に比べて、呼吸の回数が多いといわれています。 例えば同じ時間を過ごしても、大人よりもたくさんの空気を体の中に取り込んでいるんです。[1]
だから、空気の質の影響を受けやすいのも子どもたち。 たとえば、ホコリや花粉、カビ、ダニ、化学物質といった「空気の中の小さなもの」は、私たちの目には見えません。でも、それらが室内にたまると、咳が出やすくなったり、鼻がムズムズしたりすることがあります。 実際に 喘息 や アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎 などの症状と室内空気環境には、さまざまな研究で関係があることがわかってきており、一例として、ダニ相の変化やアトピー性疾患の増加の一因として生活環境の温暖乾燥化が推察され、疾患の予防にはダニなどのアレルゲン対策と同時に、皮膚や粘膜の過乾燥を防止するように生活環境の湿潤化を図ることが重要と述べられている論文もあります。[2]
詳細は論文No.7へ
特に子どもはまだ免疫機能が十分に発達していないので、空気環境のちょっとした違いが体調に影響しやすいのです。
「ただの空気」ではなく、「体の中に入るもの」という視点で見ると、その大切さがぐっと身近に感じられますよね。
空気は、家族を守る“やさしい味方”
空気の質をよくするために、特別な機械をそろえたり、大がかりなリフォームをしたりする必要はありません。 ちょっとした意識と日々の習慣で、ずいぶんと変えられます。 たとえば、
• 晴れた日には、こまめに換気をする
• カーテンや寝具を定期的に洗って、ホコリやダニを減らす
• 部屋の湿度を40〜60%に保つ
• 掃除のときは床だけでなく、壁や棚の上もふく
これだけでも、空気の質はぐっと良くなります。 湿度を適切に保つことは、カビやダニの繁殖を防ぎ、喘息やアレルギーのリスクを下げることにもつながります。 空気清浄機や除湿機などをうまく活用するのも良い方法ですが、それ以上に大切なのは「毎日の小さな工夫」。 特別なことをしなくても、家族の健康を守る力が、空気にはあるんです。
深呼吸したくなる家で暮らそう
朝、窓を開けて深呼吸したときに「気持ちいいな」と感じる瞬間。 それは、ただの気分ではなく、体が空気の変化をちゃんと感じ取っている証拠です。 そんな空気が、毎日の暮らしの中にあったらどうでしょう? きっと、家族の笑顔も、心の余裕も、少しずつ増えていくはずです。 「見えないけれど、大切なもの」を守ることは、今を元気にするだけでなく、未来の健康を育てることにもつながります。 今日、ちょっとだけ窓を開けて、空気に目を向けてみませんか? その小さな一歩が、家族の未来をやさしく支えてくれるはずです。
空気科学住宅事務局
[1] 東京都福祉保健局健康安全部環境保健課「化学物質の子供ガイドライン(室内空気編)」(2011)
[2] チリダ二類の生態および温湿度変動からみた室内環境の乾燥化アトピー性疾患
須藤千春 環境技術 1999年28巻3号 p. 167-173