
「雨が降ると、なんだか独特の香りがする。」 そんなふうに感じたことはありませんか?
どこか懐かしくて、落ち着く“あの香り”。 あれって、いったい何の香りなのでしょう?
「ペトリコール」とは?

雨を感じる独特の香りには、「ペトリコール(petrichor)」というギリシャ語で『石のエッセンス』という意味を持つ名前があります。
これは、1964年にオーストラリアの鉱物学者イサベル・ジョイ・ベアー氏とR・G・トーマス氏が科学誌『ネイチャー』で発表した論文にて定義しているようです。[1] 2015年にはマサチューセッツ工科大学が、ハイスピード高感度カメラで雨粒の落下を測定し、ペトリコールの発生メカニズムについて解明しています。雨粒が落下すると、非常に細かな空気を含んだ泡が跳ね返るのですがこの泡に土壌の成分が含まれていて、風に乗って人間の鼻へ運ばれ、においを感じ取っていると考えられているようです。[2]
香りの成分といわれるもの

香りの成分は主に2つが考えられていて、1つめが植物由来の油分です。植物の表面から染み出した油が地面に吸収されて、雨が降ることでこれらの油分が再び空気中に放出されることで香りとなります。2つ目は土壌中のバクテリアなどが生成するゲオスミン(geosmin)で、有機化合物のカビ臭のような香りがします。これは「土の香り」とも呼ばれ、人はゲオスミンの香りに敏感なのだとか。[1][2]
雷が鳴るとまた香りが変わる!?

雷がなるとまた違った香りを感じることもあるそうです。
におい・かおり環境協会によると雷の放電によってオゾンが作られるため、雷のときにはプールの消毒液のような香り(オゾン臭)を感じることもあるとのこと。みなさんはこの香り感じたことはありますか?[2]
“雨の日の空気”と上手に向き合う

雨の日は湿気が気になってなかなか窓を開けられず、室内の換気にお困りの方も多いのではないでしょうか?
雨の日でも室内に雨が入ってこない程度の雨量であれば数センチの隙間を意識して風上と風下の窓を少しずつ開けて短時間換気を数回繰り返すことで、室内の空気を入れ替える効果や気になる湿度も下げる効果が期待できます。[3] また湿った空気は乾燥している日よりもほこりを舞い上げにくいため、雨の日はほこりがたまりやすい家具や棚、家電の表面を軽く湿らせたクロスで拭く等のお掃除にぴったりの日ともいえるでしょう。
ちょっとした工夫で雨の日の空気と上手に向き合いたいですね。
おわりに

雨の日はなんとなく憂うつになりがちですが、そんな時に外の空気を吸うと感じられるペトリコールの香りは、自然が私たちに送るリフレッシュの合図なのかもしれません。 休日が雨の日は雨音を聞きながら家の中を整える時間に変えてみませんか?
きっと、家の中の空気も心も、少しだけ軽くなるかもしれません。
空気科学住宅事務局
[1] ウェザーニュース株式会社 『“降り始め”と“雨上がり”で違う!?「雨の匂い」の正体は?』
https://weathernews.jp/s/topics/202006/260095/
[2] 公益社団法人におい・かおり環境協会 『⑭災害のにおい(気象・災害との関係)』
https://orea.or.jp/gijutsu/odor-and-deodorant/14-kisyou/
[3] ハウスケアラボ運営局 『湿度を下げる方法雨の日に実践できる換気と除湿対策7選解説』
https://lifestyle.assist-all.co.jp/how-to-lower-humidity-7-tips-for-rainy-days/
