白い息はなぜ見える?目には見えない空気の世界

2025/11/12(水) すべて空気と雑学

寒い冬の朝、窓を開けて深呼吸すると、吐いた息が白く広がる光景をよく目にしますよね。
冬を感じられる光景のひとつですが、吐き出されるあの白い息には身近な科学が隠れていることを知っていますか?

 

白い息はなぜ見える?

呼吸によって肺から吐き出された温かい空気に含まれる水蒸気は、冬の冷たい外気に触れて急激に冷やされます。
その水蒸気がチリやほこりを核にして大きくなり微小な水滴となって現れます。[1]この現象は霧や雲の発生と同じ原理です。[2]
水蒸気は通常透明ですが、冷たい外気によって変化した微小な水滴に光が反射することで白く見えているのです。さらに、空気中の湿度や温度によって、吐いた息の白さは変わることも。空気が乾燥していると吐いた息に含まれる水蒸気が加わっても周辺の空気が飽和水蒸気量に達しない、もしくはすぐに蒸発してしまうため吐く息は白くなりにくいのだとか。逆に空気が湿っているとすぐに飽和水蒸気量に達して水滴ができ、吐いた息が白くなりやすくなるのだそうです。吐いた息が白くなる目安は約13度と言われていますが、湿度が高いと気温が15度以上でも白く見えることがあるようですよ。[3]
吐いた息が白い息として目に見える形になるのは冬の空気中の絶妙な条件が揃っているときだけなのですね。

 

白い息は南極では見られない!?

地球上で最も寒いと言われてる南極では吐いた息が真っ白になるのではないかと思いませんか?
しかし、実際には南極では息は白くならないのだそうです。このヒミツは「冬の空気中の絶妙な条件」が揃わないことにあるようで、吐いた息に含まれる水蒸気が微小な水滴となる際に必要な「核」つまり、チリやほこりが南極にはほとんどないからだといわれています。[4]
南極の空気はとても澄んでいるのでしょうね。

 

冬の空気の乾燥チェック

空気中の湿度や温度によって吐いた息の白さが変わるということは、寒いのに吐いた息が白くなりにくい日は、空気が乾燥している証拠。
そのような日は室内の湿度管理や換気に気を配るタイミングです。加湿器を使ったり、濡れタオルを室内に干したり、喉の保湿を意識したりすることは、冬の健康維持に直結します。空気の乾燥は、呼吸器や喉に負担がかかりやすく、風邪やウイルス感染のリスクも高まります。吐いた息の見え方から、空気の乾燥具合を知り、生活の工夫に活かしたいですね。

 

おわりに

寒い冬に目に見えない空気が、白い息としてほんの少しだけ形になって現れるこの瞬間は、何気ない日常に科学が隠れていることを思い出させてくれる瞬間でもあります。呼吸を通して自然の変化を感じることで、寒い冬でも、空気のおもしろさを楽しむことができるのではないでしょうか。

空気科学住宅事務局


[1]©2018子供の疑問、大人も疑問…。『白息は何からできている…?南極では白息が出ないって本当…』https://kodomonogimon-otonamogimon.com/shiraiki-keturo/
[2]株式会社ゼネラルリンク おやこのへや『「どうして寒いと息が白くなるの?」の子どもの疑問こそチャンス!!白い息の正体から学びはグンと広がる』https://oyako-heya.jp/articles/1197
[3]株式会社テレビ朝日[TV Asahi Corporation]『予報士のつぶやき 玄関でできる乾燥チェック』https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000237034.html
[4]株式会社ナノ(Study-Z)『意外と知らない!なぜ寒いと白い息が出るの?ポイントは温度と湿度!理系ライターがわかりやすく解説します!』https://study-z.net/100185065

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