「空気神社」とは?―見えない御神体を抱く森の社

2025/12/15(月) すべて空気と雑学

皆さんは空気を御神体とする神社があるのを知っていますか?
その名も「空気神社」といい、山形県朝日町のブナ林に覆われた小高い森の頂にたたずんでいるのですが空気を御神体とする神社は世界でも類をみません。今回は、珍しくて神秘的な「空気神社」についてご紹介します。

 

空気神社の神殿は地下にある!?

空気神社は地上に5メートル四方のステンレス製の鏡板があるだけで、神殿は鏡板の地下3メートルの深さに安置されています。地上の鏡板は “空気豊かな自然と空気に感謝するモニュメント”として四季折々の空や木々の風景を写しだすことで空気を光に変えて表現しています。
地下に安置されている神殿は四季を表す4本の支柱から成る鳥居に囲まれており、素焼きの大きな瓶(かめ)が1年を表す数として12個設置してあります。この素焼きの瓶が外部の振動を音に変えることで空気を音で表現しています。
参道には古代中国の「五行」の思想を取り入れ、この世の中のものは全てこの五つの元素から成り立つもの、空気もここから生まれたものであるという考えから建てられた木・火・土・金・水5つのモニュメントもあります。[1][2]

 

なぜつくられた?

なぜ、空気を祀るという一風変わった神社が必要とされたのでしょうか。それは、昭和48年に町民の一人 白川千代雄氏が山の中のきれいな空気の中で仕事をしていると、平地で仕事をしている時よりも疲れにくい。これは、豊かな自然が作り出す澄んだ空気の恩恵である。町に空気神社を建立し空気とそれを生み出す自然に感謝しようと提案したことがきっかけのようです。この遺志を継ぎ、昭和62年に本格的な建立準備が開始されました。
空気に感謝し、自然の恵みを大切にしようという趣旨のもと、「空気神社建立奉賛会」が設立され、平成2年に町内外有志の協賛を得て、このユニークな神社が完成しました。
以来、町は世界環境デーである65日を「朝日町空気の日」と定め、毎年この日を中心に「空気まつり」を催しています。開催期間中は地下に安置された神殿の御開帳や、巫女の舞が披露されたりするそうです。このようなイベントを通して、地域の人々や参拝者が空気と自然への感謝を新たにする日としていると思うと、空気神社は単なる観光地ではなく、空気の大切さ、自然と人との関係を考え直すための象徴的な場所になっているのですね。[2][3]

 

空気神社だけの独特な参拝方法

神社や宗教によって様々な参拝方法がありますよね。空気神社にも作法があるようで、空気神社奉賛会にて推奨される独自の参拝方法は二拝、四拍手、仰ぎ(両方の手のひらを内側に向け、上にあげて天を仰ぐ)、一拝、とのこと。ですが宗教的なこだわりはなく、どのような参拝方法でもよいのだそうです。参拝方法を気にせず、気軽に訪れてみたくなりますね。[3]

 

おわりに

一人の町民の思いが受継がれ多くの有志によって建立された空気神社。
目に見えないけれど無くてはならないものに、敬意を払う、という日本らしい感性を現代において新しく表現した場所とも言えるのではないでしょうか。鏡板のモニュメントの前で風を感じ、木々のざわめきや、空気の冷たさ・柔らかさを感じてみるだけで、空気という存在がより特別になりそうですよね。空気神社は日常の中で当たり前すぎて見過ごしていた「空気のありがたさ」に、自然と感謝したくなる、そんな場所なのかもしれません。

空気神社の参拝可能期間は朝日町観光協会のホームページをご確認ください。[4]

空気科学住宅事務局


[1] あさひまちエコミュージアム 山形県朝日町見学情報データベース「空気神社の誕生」http://asahi-ecom.jp/?p=log&l=179962
[2] やまがたへの旅 山形県の公式観光・旅行情報サイト「空気神社|観光スポット(朝日町・村山地方)」https://yamagatakanko.com/attractions/detail_9466.html
[3] Asahi自然観 ホテル・コテージ・レストラン・スキー場「空気神社」http://www.shizenkan.jp/activity.php#air
[4]あさひ旅のココロ~朝日町観光協会 山形県朝日町「2025年度空気神社参拝について」https://asahimachi-kanko.jp/log/?l=554378

 

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