シラスの可能性・最新研究

「シラス」の可能性

 

九州地方に堆積している火砕流噴出物のうち、主に約2.7万年前の姶良カルデラ(現在の錦江湾奥部)の噴火によって発生した入り戸火砕流を起源とする、白色~灰白色で砂状のものを総じて「シラス」と呼びます。語源は、白洲を意味する方言といわれます。

 

シラスは一般的な土壌に比べ固結性が弱く、透水性が高いため農業(特に稲作)には不向きで、大雨の際には侵食と崩壊により土砂災害を引き起こすことから、これまで地元住民からは「厄介もの」と呼ばれてきました。しかし近年、さまざまな機能が見出され、素材としての可能性が見直されてきています。

 

 

シラスは、超高温でマグマが急冷固化して得られる高純度無機質セラミック物質であることから、私たちはこれを「マグマセラミック」と呼んでいます。 また、シラスは非晶質の占める割合が60%~80%もあることで、他の火山噴出物とは決定的に異なる、極めて特異な性質を持っています。非晶質の場合、物質の表面には触媒反応の活性点である固体酸が存在するため、環境によっては消臭・分解・抗菌抗ウイルスなどの機能を発揮すると考えられています。

 

 

私たちはその「シラス」を有効活用し、住む人の健康と省エネに貢献する住建材「シラス壁」として生まれ変わらせました。そして現在「シラス壁」は、ご家族の健康を最優先に考えるお客様にとって本当に安心できる建材として、日本全国のみならず、アメリカ・ヨーロッパ・台湾・韓国・中国など海外の国々でもご採用いただいております。

 

 

 

「シラス」の研究

 

シラス × 材料

横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 松宮正彦 准教授
 
研究課題  人工ゼオライト合成技術の開発及び金属吸着挙動に関する研究(2012年4月~2014年3月)
シラスは所定の化学的処理により人工ゼオライトを創製できることが明らかとなりました。本研究では選択的な金属吸着が可能となる人工ゼオライトの合成手法を検討し、金属吸着及び金属脱着を可能にする液相状態の探索を行いました。結果、白金、希土類等金属イオン種との選択的吸着が可能な材料開発に成功しました。

国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 建築学科 原田志津男 教授
 
研究課題  シラスコンクリートを構造体とした実験棟の建設及び性能評価に関する研究(2013年4月~2015年3月)
シラスを細骨材として用いた軟練りコンクリートを研究。普通コンクリートより耐久性の高いシラスコンクリートの開発に成功しました。

国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 物質工学科 野口大輔 教授
 
研究課題  シラスの薄膜化及びその実用化に関する研究(2013年10月~2020年6月現在継続)*特許取得
スパッタリング法により作製したシラス薄膜の薄膜構造と各種物性の評価を行い、その物性値を明らかにすると共に、プロセスパラメーター(温度、圧力 、pH等)との相関関係を調査することで制御技術の開発を行いました。

 

シラス × 光触媒

東京理科大学 藤嶋昭 学長(現 栄誉教授)
 
研究課題  シラス壁への酸化チタンコーティングに関する研究(2013年4月~2015年3月)
シラス内装材・外装材+酸化チタンの配合にて、光触媒材料としての空気浄化性能について試験を実施。アセトアルデヒド・窒素酸化物分解においてJIS基準をクリアし、高い空気浄化性能を示しました。また、シラス外装材へ酸化チタンをコーティングするための効果的な手法を検討し、シラス外装材の機能をそのままに超親水性及び酸化分解力を兼ね備えたセルフクリーニング効果を期待できるコーティング剤の開発に成功しました。

 

シラス × 心理

東北大学 大学院 教育学研究科・教育学部 若島孔文 准教授(現 教授)
 
研究課題  住環境と家族のコミュニケーション及び精神的健康の関連性に関する研究(2010年4月~2011年3月)
寝室にシラス壁が設置されている場合、および床面積が8帖以上である場合、より良い睡眠の質が得られる可能性が高いという結果となりました。

 

シラス × 芸術

東京藝術大学 美術学部 工藤晴也 教授
 
研究課題  シラスを材料とするモルタルを用いた壁画表現の研究(2013年4月~2014年3月)
シラス内装壁材をモルタル絵画材料として応用し、素材に適した壁画表現を研究すると同時に、実践的な技法を開発。また、シラスを主成分とした水彩絵具シラスカラーを用いて、住空間に適合する壁画表現の可能性を探る研究を行いました。

 

シラス × 農業

東京農業大学 生物応用化学科 前田良之 教授
 
研究課題  シラスの農業用資材としての有効利用に関する研究(2012年10月~2013年3月)
シラス土壌を分析し、その結果を元にシラス土壌を改良剤とし、植物育成を評価。結果、茎葉が丈夫になり、耐病性が強くなることや、酸性土壌の中和化や収穫物の質が良くなる効果を発見しました。

 

 

 

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最新研究

水虫・コロナ・インフルエンザへの抗菌・抗ウイルス効果を実証

国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 物質工学科 野口太郎 准教授・野口大輔 教授
 
研究課題  シラス壁の抗菌抗ウイルス性能に関する研究(2020年7月~2023年3月)
シラス壁の持つ抗菌・抗ウイルス効果の検証試験を実施し、水虫・コロナ・インフルエンザ、いずれの試験対象においても接触後1分~10分で99.9%以上の抗菌・抗ウイルス効果を確認いたしました。

 

|水虫に対する抗菌性能試験結果

シラス内装材である「薩摩中霧島壁」と「白洲漆喰」及びシラス外装材である「スーパー白洲そとん壁W」の白癬菌に対する抗菌性能を評価。いずれの壁材についても、接触後1分間で99.9%以上の減少率を確認いたしました。

 ●試験菌:白癬菌[NBRC 32409] ●測定方法:コロニーカウント法 ●検出限界:10.3cfu/試験片

 ※特許出願中

 

|コロナウイルスに対する抗菌性能試験結果

新型コロナウイルス(SARS-CoV2)と同じコロナウイルス科に分類され、類似した構造的特徴を持つネココロナウイルスを対象に、「薩摩中霧島壁」と「白洲漆喰」及び「スーパー白洲そとん壁W」の持つ抗ウイルス性能を評価。いずれもウイルス量を99.9%以上減少させることを確認いたしました。

 ●試験菌:ネココロナウイルス[WSU 79-1683] ●測定方法:TCID50 ●検出限界:32TCID50/試験片

 

|インフルエンザウイルスに対する抗菌性能試験結果

インフルエンザウイルスを対象とした抗ウイルス試験においても、「薩摩中霧島壁」、「白洲漆喰」、「スーパー白洲そとん壁W」すべてにおいて、99.9%のウイルス量減少を確認いたしました。

 ●試験菌:インフルエンザウイルス[H3N2] ●測定方法:TCID50 ●検出限界:1.00×10^3.8TCID50/試験片

※特許出願中

 

シラスの触媒機能探索とその応用可能性

日本大学 理工学部 無機応用科学科 梅垣哲士 教授
国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 物質工学科 野口大輔 教授

 
研究課題  シラスの含窒素化合物変換機能とその応用可能性に関する研究(2021年8月~2022年3月)
シラス由来の試料に比較的簡便な処理を施すことで、アンモニアボランや亜酸化窒素などの含窒素化合物の分解反応に対して触媒機能を示すことを明らかにしました。この結果を踏まえ、さらなる機能性の向上とその応用可能性についての検討を進めております。

※特許出願中

|論文

・Function of Shirasu-based materials for acid-promoted hydrolysis of ammonia borane 
Tetsuo Umegaki, Daisuke Noguchi, Tsubasa Fukumoto
Journal of Japan Institute of Energy 102(2) 28-32 2023年2月28日
 
Tetsuo Umegaki, Daisuke Noguchi, Tsubasa Fukumoto
ChemistrySelect 7(46) e202201944 2022年12月8日
 
Tetsuo Umegaki, Daisuke Noguchi, Tsubasa Fukumoto
ChemistrySelect 7(42) e202201763 2022年11月10日 
 

|講演・口頭発表等

・銅担持シラス触媒の亜酸化窒素分解活性 
(日大理工)○梅垣哲士・(都城工業高専)野口大輔・(高千穂シラス)福元 翼・ 新留昌泰
無機マテリアル学会第145回学術講演会 2022年11月11日 無機マテリアル学会 

 

 

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