
スーパーやコンビニの棚に並ぶポテトチップスの袋。手に取ると、中身に対してずいぶんと袋が膨らんでいて”もっと中身を詰めてくれればいいのに”なんて思ったことはありませんか? しかし、あの膨らんだ袋には、最後まで美味しく、そしてパリッとした食感のまま私たちの手元に届けるための、ヒミツが隠されているのです。
袋に入っている空気の正体は?

まず驚きなのは、あの袋の中に入っているのは私たちが吸っている空気そのものではないということです。 私たちが吸う空気には窒素が約78%、酸素が約21%含まれています。 ポテトチップスのように油で揚げた食品には酸素は大敵です。酸素に触れると、「酸化」という現象が起こり、味が落ちたり特有の油臭さが発生したりしてしまいます。 そこで、反応性の低い窒素のみで袋を満たし、酸素にさらさないことで、製造直後の美味しさを長期間キープしているのです。[1][2]
ポテチ以外も!スナック菓子を救う「エアバッグ」の役割

この仕組みはポテトチップスだけではありません。同じように油で揚げたスナック菓子や、壊れやすい繊細な形状のお菓子の多くに採用されています。 実は、窒素にはもう一つの重要な役割があります。それが”物理的なクッション(緩衝材)”としての機能です。 ポテトチップスや薄焼きのせんべいなどは、非常に割れやすい繊細な食べ物です。工場からトラックで運ばれ、お店の棚に並び、さらに私たちが家まで持ち帰る間には、多くの衝撃が加わります。もし袋が真空パックのように密着していたら、中身は粉々になってしまうでしょう。 膨らんだ袋がエアバッグのように外部からの圧力を跳ね返すことで、中のお菓子の繊細な形状が守られているのです。袋を開けたときにきれいな形のチップスのまま食べることが出来るのは、この窒素のおかげなのですね。[1]
標高が高い場所で袋が膨らむ理由

ここで一つ、旅先で使える空気の雑学をご紹介します。登山の途中で売店に寄ったり、標高の高いキャンプ場へ行ったりすると、スナック菓子の袋がさらにパンパンに膨らんでいるのを見たことがありませんか? これは、周囲の「気圧」が下がるためです。 平地では袋の中の窒素が外へ押す力と、外の空気が袋を押す力が釣り合っています。しかし、高地では外の空気が袋を押す力が弱くなるため、中から押し返す力が勝り、袋が大きく膨らみます。 目に見えない空気の力を目の当たりにできる、身近な科学実験とも言えます。[3]
おわりに

空気は私たちの暮らしを全方位から支えています。 食品の世界では空気中に含まれる窒素が「酸化防止」と「緩衝材」を担っていると考えるとなんだか不思議ですね。 中身がスカスカだ、と感じていたポテトチップスやスナック菓子には、各メーカーの”最高の状態で美味しく味わってほしい”という思いが詰まったものだといえるのではないでしょうか。
空気科学住宅事務局
[2] カルビー株式会社「『ポテトチップス』の袋には空気が入っているか教えてください。」https://faq.calbee.co.jp/faq_detail.html?id=69
[3] 富山市科学博物館「高い山に行くとふくらむお菓子の袋」 https://www.tsm.toyama.toyama.jp/file_upload/100891/_main/100891_02.pdf