なぜアイスクリームはなめらか?―空気がつくる“口どけ”のヒミツ

2026/03/30(月) すべて空気と雑学

小さな子どもから大人まで幅広い世代に身近なアイスクリーム。
お風呂上がりやちょっとしたデザートはもちろん、頑張った自分へのご褒美としてぴったりのスイーツです。
特になめらかさが特徴のアイスクリームは、口に入れた瞬間から至福を感じますよね。でも、あのなめらかさは一体どうやって作られているのでしょうか?今回は、そんなアイスクリームのなめらかさの正体に迫ります。

アイスクリームの半分は「空気」でできている?

アイスクリームの製造工程において、最も重要とも言えるプロセスが「フリージング(凍結)」です。このとき、原料を冷やしながら猛烈な勢いでかき混ぜ、空気を抱き込ませる作業が行われます。[1]この、アイスクリームに含まれる空気の割合を専門用語で「オーバーラン(Overrun)」と呼びます。例えば、1リットルの原料液に1リットルの空気が混ざり、2リットルのアイスクリームになれば、オーバーランは100%です。
高級なプレミアムアイスクリームはオーバーランが低め(2040%程度)で、ずっしりと濃厚な味わいになります。一方で、ソフトクリームや安価なカップアイスなどはオーバーランが高く(60100%程度)で設定されており、軽やかでふわっとした口当たりが特徴となります。この空気の含有量こそが、食感を決定づける最大の要因なのです。[2]

 

同じアイスでも種類が違う?

ひとまとめに「アイス」とよくいいますが、実際には成分規格によって種類が分かれているのを知っていますか?
乳成分の量などによって「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」、「氷菓」と区別されており、同じアイスでも中身の設計は異なります。
アイスクリームは乳固形分15%以上(うち乳脂肪分8%以上)のものを指します。最も濃厚で、空気の含有量も計算し尽くされた贅沢な味わいです。
アイスミルクは乳固形分10%以上(うち乳脂肪分3%以上)でアイスクリームと比較すると、あっさりとした味わいです。
ラクトアイスは乳固形分3%以上で植物性油脂が使われることが多く、すっきりとした味わいが特徴です。
氷菓は乳固形分が3.0%未満で乳成分をほとんど含まないかき氷やアイスキャンデーが分類されます。[3]
空気がつくるなめらかさに加え、この乳成分のバランスが、私たちが選ぶ楽しさを生み出しているのですね。

 

日本のアイスクリームの歴史

日本で最初にアイスクリームを食べたのは、横浜開港の翌年、万延元年に日米修好通商条約批准のため渡米した徳川幕府一行というのが定説になっているそうです。その時の遣米使節団が、船中での晩餐に提供されたアイスクリームを日本人で初めて賞味したのだとか。
実際に日本初のアイスクリームとなる「あいすくりん」の製造販売が開始されたのは明治2年(1869年)6月(新暦7月)。マッチ、石鹸、造船用鋲等の製造にも関係したと伝えられている町田房蔵が横浜馬車道通りで氷と塩とを使用して始めました。この「あいすくりん」は牛乳、卵、砂糖で作ったのではないかと考えられているようです。[4]

 

一度溶けたアイスクリームは元に戻らない

市販のアイスクリームが一度溶けてしまい、それを再び冷凍庫で凍らせた経験はありませんか? そのとき、元のようななめらかさはなく、シャリシャリとしたシャーベットのような食感になっていたはずです。
アイスクリームは溶けると組織がバラバラになり、分離してしまいます。氷の結晶が大きくなるため、食感がシャリシャリし、本来のなめらかさも失われてしまったのです。品質が劣る以外に衛生面の観点からも再冷凍することは控えたほうがよいのだとか。
溶ける前に美味しくいただきたいですね。[5]

 

おわりに

アイスクリームを食べて得られる至福は味や香りだけでなく、その半分は空気も関係しているとはとても不思議ですよね。
隠し味といってもいいほどかもしれません。
このコラムを読んでいただいてアイスクリームを買いに行こう!と思ってくださった方は「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」、「氷菓」に注目して購入してみてはいかがでしょうか?

空気科学住宅事務局

 


[1] (一社)日本アイスクリーム協会「アイスクリームは、どうやって作るの?」https://www.icecream.or.jp/iceworld/qa/02.html
[2] (一社)日本乳業協会「アイスクリームのおいしさの秘密はなんですか?」https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_059_452/
[3] よつ葉乳業(株)「「アイス」と呼ばれるものの種類は4つ!成分の違いやおすすめのアイスクリームを紹介!」https://www.yotsuba-shop.com/Page/Feature/139.aspx?srsltid=AfmBOoopAimBooKFlmSxxNB2gKhufOqtoBwV22OYn2PF1RWCm-7lomnM
[4] (一社)日本アイスクリーム協会「“あいすくりん”の誕生」https://www.icecream.or.jp/iceworld/history/japan/
[5](株)明治「アイスがいつもと違い分離していて、スプーンですくうとシャーベット状でシャリシャリしています。食べても大丈夫ですか」 https://qa.meiji.co.jp/faq/show/15848?category_id=656&site_domain=default