空気科学住宅(論文)Ⅶ

空気科学住宅®にお寄せ頂きましたご相談・ご質問に対して、
国立病院機構都城医療センター附属看護学校 非常勤講師 野口大輔先生監修のもと、
該当する学術論文をお探しし、ご案内してまいりました。

このページでは、喘息・アトピー性皮膚炎が起こる原因や空気環境との因果関係について
野口先生による【論文紹介】を掲載しております。

喘息とアトピー性皮膚炎の具体的な予防方法や室内環境の改善方法についても紹介していますので
参考にしてみてください。

詳細が気になる方は、オリジナル論文にも訪れてみてください。

‐2026/6/1‐

【No.31】建材上のカビの成長速度に与える温湿度の影響

屋内で頻繁に使用される建築材料をいくつか選び、真菌の生育に必要な温度および相対湿度の範囲と、その生育速度を明らかにした論文です。

日本の住環境では高温多湿の夏季や冬季の結露によるカビ汚染が問題となっています。カビの発生源除去とともに、室内でのカビ増殖を防ぐため、建材ごとのカビの成長しやすさや、温度・湿度条件による成長速度の違いを明らかにすることは大変重要です。

新しい「畳」、合板、プラスチック素材で表面がコーティングされた合板、石膏ボード、ヒノキ、スギマツ、そして古い「畳」と藁下地を用いて、25°C、相対湿度100%での繁殖の可能性を調べ、新しい畳、古い畳、および藁下地については、4つの温度(5、15、25、35°C)および5種類の湿度条件(100、90、85、75、66%)で生育速度を測定しています。畳および藁下地では、すべての条件においてすべての菌類が著しい生育を示したことから、住宅環境内では、温度湿度ともに広範囲に真菌の増殖する可能性を有することが明らかになり、今後の住宅においては、建材の選定や温度湿度をコントロールする室内環境の管理の必要性を提起しています。

以前、ご紹介した【No.21】“住宅における結露・カビの発生要因に関する調査研究”では、子どものアレルギー症状に影響を与える湿気の多い建物の住居特性が明らかにされており、「木質系」や「塗り壁」といった調湿性能を有すると考えられる壁材が、窓・サッシ部における結露の発生を優位に抑えると結論づけられています。 湿度や温度など、あらゆる観点で空気をリサーチし、喘息・アトピー・アレルギーがいかに空気環境に影響されるのか。

だからこその「空気に配慮した暮らし」⇒”空気科学住宅”

 

起きている間も、眠っている間も、人は呼吸をし続けています。
人が一日に呼吸する量は14,400L。500mlのペットボトルに換算すると28,800本分に相当します。

また、私たちが一生涯で摂取する物質の割合をみると、飲食物よりも空気の方が圧倒的に多く、中でも「室内空気」は全体の57%を占めます。

にもかかわらず、現代の住宅は高気密。24時間換気が行われているとはいっても、毎日営まれる人間の生活によって、ニオイや湿気など様々な物質がこもりがちです。さらに、住宅建材に使われる化学樹脂からは、様々な種類の化学物質が揮発しており、たとえそれが微量であったとしても、住まいの空気質、そして住む人の健康に大きな影響を与えることがあります。

最近では、この化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康被害が指摘されており、よく耳にする「シックハウス症候群」もこの室内空気汚染が原因と考えることができます。WHO(世界保健機関)は「大気汚染」や「室内空気汚染」によって年間約300万人が死亡しており、このうちの280万人が「室内空気汚染」による死亡、残り20万人が「大気汚染」による死亡であると試算しています。

シックハウス症候群以外にも、空気環境が良くないことで気管支炎喘息、アトピー性皮膚炎、化学物質過敏症などの病気が誘発されるとも言われており、これらの病気には、子供からお年寄りまで幅広い年齢層の人が苦しんでいます。

また、化学物質が人に与える影響は、一般に大人よりも成長期の子どもの方が大きいと考えられ、体重1kgあたりで比較すると、子どもは大人の2倍近くの化学物質を取り込んでいることになります。家族みんなが安心して暮らせる住まいを考えたとき、そこに、「空気に配慮した家」を求める理由があります。私たちは健康のために食べ物や水を選ぶのと同じように、室内空気の安全性にも気を配る必要があると考えております。

建材上のカビの成長速度に与える温湿度の影響
菅原 文子
日本建築学会計画系論文報告集 441巻 1992 p. 9-13


野口 大輔
国立高等専門学校機構都城工業高等専門学校 教授
九州大学大学院総合理工学研究院 教授
国立病院機構都城医療センター附属看護学校 非常勤講師

所属学会:公益社団法人応用物理学会、公益社団法人日本表面真空学会
研究内容:地域資源(シラス等)を活用した新規機能性材料の開発と工学的応用
     薄膜作製技術を駆使した機能性無機薄膜の作製と物性評価
研究実績:野口 大輔 (Daisuke Noguchi) - マイポータル - researchmap